そのキスで、覚えさせて
「遥希君、そんなに無理しないでよ」
隆太さんも陸さんと同じように、遥希を心配していた。
「君がアクロバット出来ないなら、負傷したとかなんでも理由付けられるんだから」
「……あぁ」
遥希は遠い方向を向いている。
そんな遥希は、必死に自分のプライドと戦っているのだろう。
確かに隆太さんの言う通り、負傷したなんて言い訳も通用する。
だけど、遥希は自分が許せないんだ。
遥希の苦しいほどの自責の念を、あたしは完全には分かれないかもしれない。
だけど、陸さんが言ってくれたように、少しでも遥希の気持ちが晴れるように寄り添ってあげたい。