そのキスで、覚えさせて
「お前が怪我すると、俺が悲しむ」
遥希のその言葉に、胸が溶けてしまいそう。
遥希はあたしの足に触れたまま、甘く切なく告げる。
「もう、側転禁止。
俺を元気付けようと側転するの、絶対禁止」
あー、遥希にはやっぱりバレバレなんだ。
それに、遥希を元気付けようとしたのに、遥希を心配させることになっちゃったよ。
それなのに、
「ありがとな。俺も少し、前向きになれた」
前向きになんてなっていないだろうに、そんなことを言ってくれる遥希。
そんな遥希に、何も言えない。
神妙な顔のあたしに、遥希は続ける。