そのキスで、覚えさせて
「それでも、美咲ちゃんが死にそうにしんどかったら……」
「?」
「俺たちが美咲ちゃんの力になるから」
「え?」
俺たち?
俺たちって……何?
胸がドキドキ言う。
これって……
これって、まさか……
「Fが疲れきった美咲ちゃんだけに、特別ライブを開いてやる」
「本当ですか!?」
嬉しい。
すごく嬉しい!
聞いただけで涙が出そうだ。
藤井さんと知り合いになれて、本当に良かった。
あたしが真っ赤になって藤井さんを見ていると、
「何が本当ですか?だ」
地獄の奥底から響いてくるような、怒りに満ちた声が聞こえた。
その声に飛び上がる。
リビングの入り口に遥希が立っていて、腕を組んで顔を歪めてあたしたちを見る。