そのキスで、覚えさせて





「まぁ、どっちにしろ、次のライブでお前らの席取っておけばいいんだろ?」




藤井さんはなおも面白そうに言い、遥希はぐっと口を噤む。

そしてあたしは、藤井さんの思わぬ言葉に釘付けになる。




なに?

席取っておくってなに?





遥希は心底嫌そうに藤井さんに言う。





「美咲の前で言うなよ。

これじゃ、まるで俺がF好きみたいじゃん」



「好きじゃねぇのかよ。

遥希が次のライブの席取っておけって言ったのに。

あ、でも遥希、ゲスト出演してくれるんだったか?」




藤井さんはわざと残念そうに言う。

そして、



「ふざけんな!

絶対嫌だ。

F死ね!」



遥希がいつも通り怒っていた。

そんな二人を見て、笑みが溢れた。


< 246 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop