そのキスで、覚えさせて






テレビには公演を終えたTODAYの五人が映っていて。

遥希を含め、キラキラ笑顔でこっちを見る。

その笑顔が泣き顔にさえ思えた。





「遥希君、怪我、早く良くなるといいね」




隆太さんが心配そうに言う。

そんな隆太さんに、



「ありがとう。早く治すよ」



遥希はやっぱり笑顔で言ったけど……

そんな遥希を、見ていられなくて。




ー声が聞きたい。




耐えきれず、ラインを送っていた。






そのラインを送ってから、一秒が永遠に感じた。

あたしは、遥希を元気にさせる言葉はかけられないかもしれない。

だけど、どうしても遥希の声が聞きたいんだ。






やがて、携帯が振動する。

あたしは悲鳴を上げる胸を押さえ、携帯を耳に付けていた。



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