そのキスで、覚えさせて
気付いたら、こんなに好きになっていた。
遥希の苦しさや焦りも全部、共有したいなんて思ってしまう。
この身に全て、吐き出して欲しい。
「……来ねぇか」
枯れてしまいそうなその声に、たまらなくなって。
荷物をまとめて、家を飛び出していた。な
に少女漫画の主人公みたいなことをしているんだろう。
多忙な遥希にとって、迷惑でしかないかもしれないのに。
だけど、その言葉を聞いた時、身体が言うことを聞かなくなった。
まるで、操られているかのようにあたしは飛び出した。
そして……
飛行機の最終便で、札幌へと向かった。