そのキスで、覚えさせて
「遥希、遅かったね」
会場入りした遥希を、困ったように隆太さんが見る。
そして、
「美咲ちゃん!来てたんだ!」
驚いたようにあたしを見る。
それもそのはず、あたしは昨夜急に札幌まで来てしまったのだから。
「美咲ちゃーん、一人で見るのぉ?
もう良席残ってないよぉ〜」
相変わらずチャラチャラしている勇人さんは、
「俺の膝の上で見るぅ?」
なんてわざとらしく聞いて、
「ふざけんな、勇人!
てめぇはこいつに指一本触れるな!」
遥希の逆鱗に触れていた。