そのキスで、覚えさせて
「のろけはそのくらいにしておいてくれる?」
そう言ったのは、一番歳下なのにしっかりしている修也さん。
遥希はそんな修也さんを睨む。
「誰かさんのせいで、時間が押しているよ?
早くリハ始めるよ」
遥希はあたしを見て笑う。
さっきまでの泣きそうな笑顔とは、少し違った。
その笑顔を見て、なんだか安心した。
「じゃあな」
「うん!」
笑顔で遥希を見送る。
そして、一人でひたすら祈った。
どうか神様、奇跡を起こしてください。
もう、遥希を悲しませないでください。