そのキスで、覚えさせて






「あれ?遥希君、怪我治ったの?」




モニターから、隆太さんの驚いた声が聞こえてくる。




「よく分かんないけど、治ったみたい」




アイドル遥希の声に、会場が悲鳴を上げる。

そう言って、遥希はわざとらしく左手を上げた。

その手首には、あたしのブレスレットがきらりと輝く。

あたしの胸が、きゅんと音を立てた。





「すっごい調子いいから、今日は飛ばしてくよ?」



「遥希君、無理しないでよね」





そんな様子を見て、あたしはずっと泣いていた。

安堵と幸せを噛み締めて。





神様、ありがとうございます。

本当に、ありがとうございます!!


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