そのキスで、覚えさせて






「あたしも悩んだことがあるけどね……」




咲良ちゃんも口を開く。




「玄はみんなのものだけど、藤井賢一はあたしのものだから。

だから、自信持って賢ちゃんの妻って言えるんだ」



「さすが俺の妻!藤井家の大黒柱」



「やめてよ、賢ちゃん……」



「やめねぇよ!

いいか、咲良!!

次のライブでよく見てろよ。

俺のスティックさばきはすげぇよ!

俺のスティックもすげぇよ!!」



「馬鹿!」




二人はなんだかお馬鹿な言い合いを始めてしまって。

あたしは思わず笑ってしまった。





みんな、少なからずそんな葛藤と戦っているんだ。

だけど、藤井さんや咲良ちゃんが言う通り、遥希はあたしの恋人なんだから。

だから、自信持たなきゃ!



< 289 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop