そのキスで、覚えさせて
「あたしも悩んだことがあるけどね……」
咲良ちゃんも口を開く。
「玄はみんなのものだけど、藤井賢一はあたしのものだから。
だから、自信持って賢ちゃんの妻って言えるんだ」
「さすが俺の妻!藤井家の大黒柱」
「やめてよ、賢ちゃん……」
「やめねぇよ!
いいか、咲良!!
次のライブでよく見てろよ。
俺のスティックさばきはすげぇよ!
俺のスティックもすげぇよ!!」
「馬鹿!」
二人はなんだかお馬鹿な言い合いを始めてしまって。
あたしは思わず笑ってしまった。
みんな、少なからずそんな葛藤と戦っているんだ。
だけど、藤井さんや咲良ちゃんが言う通り、遥希はあたしの恋人なんだから。
だから、自信持たなきゃ!