そのキスで、覚えさせて
「遥希君、君、もう足は大丈夫なの?」
わざとらしく言う隆太さんに、
「札幌での出来事があってから、毎回それ聞かれるじゃん。
ネタなの?」
遥希は笑顔で言う。
すると、客席から
「大丈夫ー?」
ファンが叫ぶ。
そんなファンの言葉にも、
「大丈夫大丈夫」
なんて丁寧に返す遥希。
叫んだファンは泣いてしまった。
そんな様子を見て、やっぱり遥希はすごいと思った。
その人気は、きめ細かなファンサービスのおかげでもあるのだろう。
そして、こんな素敵な遥希に愛されて、すごく幸せだ。
「ほら、この通り」
そう言って、バク転からバク宙を軽々やってのける遥希。
客席から悲鳴が鳴り響いた。