そのキスで、覚えさせて
「TODAYの遥希じゃなくて、一人の人間として言わせてください。
TODAYの遥希は、みんなのものだから」
ヒューヒューと口笛の音さえする。
それに負けないほど、あたしの心臓は煩く音を立てている。
遥希はそのステージの中央に立って……こっちを見る。
遥希と視線がぶつかった気がして、どきんとする。
もうだめ、本当に心臓止まりそうだ。
遥希の視線とともに、ファンたちも必死で彼女を探す。
だけど、見つかるはずもない。
……見つかるはずもないのに、ドキドキが止まらない。