そのキスで、覚えさせて




遥希はこっちを見て、少しだけ左手を上げる。

そこには、あたしのブレスレットが輝いていて。

少しだけにやけてしまった。

きっと、あたしの表情なんて見えていないはずなのに、遥希も少しだけ微笑む。

そして再び口を開いた。





「支えてくれて、ありがとう。

君がいたから、僕はこうやってこの舞台に立つことが出来ました」





ファンがきゃあきゃあ煩い。

それに負けないくらい、あたしの鼓動も煩い。





遥希は再び間を置いて一息ついた。



そして……






「俺と結婚してください。

絶対幸せにするから。

今日のパンツは何色だとか、下手な側転だとか、お前となら小さなことも幸せに変えられる」





あたしは開いた口が塞がらなかった。





遥希……いいの?

遥希が俺様腹黒変態キャラを出してしまったら、ファンが減るのに。

それ以前に、クビにならないの?



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