そのキスで、覚えさせて
なんだかドームが騒然としてきた。
そんな中、涙があたしの頰を伝う。
好きだよ、やっぱり遥希が大好きだ。
今すぐに遥希の胸に飛び込んでしまいたい。
あたしが彼女だって、みんなに言いたい。
「一般人だから、今ここで答えは求めない。
でも、もしOKなら、コンサート後に楽屋に来て欲しい」
もうだめだ。
遥希と視線が合うたびに、遥希が言葉を発するたびに、愛しいと思ってしまう。
「マジで……
お前を愛してる」
ドームが壊れてしまうほどの歓声に包まれた。
ファンは涙を流し、
「遥希!おめでとう!」
なんて言う。
遥希も、すっごく嬉しそうにありがとうと答える。
そしてあたしは、顔を押さえて大粒の涙を流していた。
遥希に愛されて、あたしはすごくすごく幸せだ。