そのキスで、覚えさせて
ただ、不安なこと。
それは、
「遥希のもとにって……
どうやって行けばいいんですか?」
あたしは、コンサートの部外者だ。
遥希に会いたくても、立ち入り禁止部位はきっと通れない。
それに、楽屋の位置も分からない。
藤井さんはにやりと笑って、ゲストパスを指差す。
そっか……あたしたち、ゲストなんだ!
「楽屋の位置は、だいたい分かる。
だから、俺がそこまで連れて行く」
「良かったね、美咲ちゃん」
藤井さんと咲良ちゃんの言葉に、またまた涙が出た。