そのキスで、覚えさせて
そんな遥希に言っていた。
「やっぱり、これから役所行く?」
「は?」
「婚姻届を出しに」
遥希はじっとあたしを見た。
まるで、馬鹿でも見るように。
そんな様子の遥希にすら、酔ってしまうあたし。
その瞳で見つめられるだけで顔がぼおっと熱くなる。
遥希が大好きだと思う。
あたしは真っ赤な顔で遥希に告げる。
「確かに遥希の言う通り、入籍日なんていつでもいいのかも」
「……どうしたんだ?」
怪訝な顔であたしに聞く遥希に、笑顔で告げた。
「今までは何でもない日だったけど、これからはその日が記念日になるんだから。
新しい記念日を作ろうよ」
「美咲……」
遥希はすごく嬉しそうにあたしを見る。
こんな遥希の笑顔を見たら、あたしももっと嬉しくなって。
その身体に抱きついていた。