そのキスで、覚えさせて







そんな遥希の余韻に浸っていた。

一瞬、Fのことを忘れてしまうほど。





だけど……




再び暗くなった東京ドームに、大歓声が起こった。

まるで、雷のような。

スクリーンに文字が映し出され……

四人の影が映る。

そして……

銀色のテープが飛び散り、スクリーンが下がる。

その向こうに、あたしの追い続けていた四人がいた。





クールで、オトナっぽくて、そしてカリスマで。

その、何回も聴いた曲が耳に沁みる。

胸を突き動かして止まらない、Fに酔った。







「帰ってきたぜ、東京ドーム」




碧の言葉に大声で叫ぶ。




「今日も一日、楽しもうぜ」





涙すら出そう。

やっぱり感激してしまって。

ファンだけど、やっぱりファンは辞められない。

遥希に何を言われても。

あたしは、Fが大好きだ。



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