そのキスで、覚えさせて
遥希と碧は、しばらく音楽について会話していた。
そして、おもむろに碧が言う。
「そういえば遥希、結婚したんだろ?」
遥希はわざとらしく、うんと頷く。
客席から悲鳴が上がり、あたしの心臓は口から飛び出しそうになる。
「新婚生活、どうなんだ?」
もう、ドキドキが止まらない。
顔がにやけて仕方がない。
みんなの視線を集まる遥希は、あたしだけのもの。
「やっぱり楽しいよ。
料理を一緒に勉強したり、結婚式や新婚旅行のことを考えたり」
「へぇー……」
「僕、本当に妻が好きなんだ。
結婚出来て良かったよ」
さっきまでFに狂っていたのに、今は遥希に夢中だ。
やばい、今すぐ遥希に会いたい。
抱きついて、大好きだって伝えたい。
あたしも結婚出来て良かったって、本気で思うよ。