そのキスで、覚えさせて
ライブが終わり、遥希に言われた場所で彼を待つ。
遥希に会えると思うと、胸の鼓動が鳴り止まない。
素敵な歌をありがとうと伝えたい。
外部の音が、耳に入る。
碧かっこいいとか感動したとかいう感想とともに、
「遥希、良かったよね」
なんて言葉が聞こえて。
一人でにやついていた。
そんなあたしに、
「なににやけてんだよ」
いつもの俺様遥希の声が聞こえ、びくっと飛び上がる。
あたしの後ろには、しかめっ面の遥希がいて。
少し頰を染めてあたしを見ている。
そんな遥希に……
抱きついていた。
感動をありがとう。
遥希、すごくかっこよかったよ!
「お前、またアイツのこと考えてるの?」
違うよ、遥希のことだよ。
だけど、嫉妬させるために黙っておこう。
にやにやするあたしを見て、遥希は言った。
「F死ね!碧、ぶっ殺す!!」