そのキスで、覚えさせて
「新婚旅行はモルディブだったよな」
「うん」
「俺らのMVに出演してくれたよな。
あの時、お前がマジで役者だと思ったけど、素でこのキャラだとはな」
「……無理矢理だよぉ」
そんな会話を聞きながら、あたしもパンフレットを見ていた。
挙式に旅行、すごくすごく楽しみ。
多忙な遥希なのに、あたしにそんなにも時間を取ってくれるなんて。
「……なぁ、美咲はどこに行きたいんだ?」
そんな遥希に、何となく言っていた。
「南極」
「は?」
「南極か……北極」
「お前も馬鹿か」
遥希は大きなため息をついていた。
あたしはどこでもいいよ、遥希と一緒なら。
二人でずっと笑って、楽しい時間を過ごしたいんだ。