そのキスで、覚えさせて
「ますますFのファンになってしまう」
「……」
「あぁ……碧にも会いたい」
そう言ったあたしに、
「F、ぶっ殺す!
碧、マジでぶっ殺す!!」
遥希は声を荒げた。
そんないつものやり取りを笑って見ている人がいた。
彼はソファーにどかっと腰掛け、その中性的な顔に面白そうな笑みを浮かべる。
「あー。だから遥希、碧のこと嫌いだったんだー」
「そうだ、勇人。
お前もあいつらムカつくだろ?」
「でも遥希、玄と仲良しぢゃーん?」
まさしく、ぢの発音だった。
チャラチャラしながら勇人さんは遥希と同じビールを口にした。
そんな勇人さんを見て、思わず笑ってしまった。