そのキスで、覚えさせて
唯さんと話していると、元気が出てきた。
だからあたしも、頑張れそうな気がした。
唯さんは見た目は普通の女性だけど、すごく素敵な人だと思う。
そして、蒼さんとお似合いだと思った。
ここでふと思った。
生粋の碧ファンのあたし。
碧が結婚したと聞いた時、ショックを受けなかったと言ったら嘘だ。
相手はどんな人だろうとか、想像を巡らせていた。
だけど……
唯さんに対して嫉妬心はない、不思議なほどに。
「そんなものなのかもしれない」
唯さんは穏やかに言う。
「だから分からないよね、人間って。
もしかしたら、美咲ちゃんの友達も受け入れてくれるかもしれない」
その言葉が、胸に心地よく染み込んだ。