そのキスで、覚えさせて
「昨日、瀬川さんが来たの。
美咲のグループが担当の製品を使うことになったみたいで。
美咲のこと、探していたよ」
その言葉に恐怖すら覚える。
瀬川さん……
もう二度と会いたくないのに。
こうやってすぐに会わないといけないなんて。
「あたしは、瀬川さんと関わりたくない」
「だけど、仕事だよ……?」
泉は困った顔をして去っていった。
泉の言うことはもっともだ。
だけど、正論だけではどうすることもできない気持ちもある。
都合よく使われてるだけじゃね?
遥希の言葉が、また頭の中を駆け抜けていった。
瀬川さんとこれ以上、何もないことを祈るばかりだ。