そのキスで、覚えさせて
あたしは胡散臭そうに瀬川さんを見る。
今、何を言って名誉挽回しようとしても、あの夜の出来事が頭の中に残っていて。
どうしても瀬川さんを警戒してしまうあたし。
だけど、瀬川さんはあたしに告げた。
「確かに美咲ちゃんは魅力的だけど、後輩の元カノだからね。狙ったりしないよ」
その言葉にホッとした。
結局、酔っ払いの戯言だったんだ。
あたし、なに本気にしていたんだろう。
ようやく瀬川さんに笑顔を向けることが出来たあたしは、
「よろしくお願いします」
頭を下げていた。