そのキスで、覚えさせて





しばらくの間。遥希は黙って何かを考えているようだった。

そして、そっぽを向いて言う。




「デートって何したらいいのか分からねぇ」




その頰が少し紅い。

俺様なのに照れ屋の遥希がこの上なく愛しい。




「美咲は何したいのか?」




その低い声は、甘く優しくあたしの耳朶を刺激する。




「ずっと寂しい思いをさせていたから、美咲を満足させてやりたい」





何言ってるの。

こうやって遥希と会えて、遥希と歩けて。

それだけであたしは大満足。

それに、そんなに甘いとあたしはまたおかしくなる。

遥希に甘えたくなる。

だから、こう言う時こそ俺様遥希でいて欲しいのに。

……その甘さと優しさは罪だ。



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