A・O・I
「……なんだ……最初から、ここに居たの?……ハハッ……はぁ~…………。」
気持ち良さそうに眠っている蒼の前でへたり込む。
「はぁ~……よかった……よかった……。」
どっと安堵の気持ちに満たされていると、部屋に微かに残っている匂いに気がついた。
「料理の匂い……何か作って自分で食べたのかな?」
キッチンに行ってみると、そこには具沢山のお汁が入った鍋と、近くには器に入った茹でたうどんの麺が置いてあった。
「うどん……もしかして私の分作ってくれたの……?」
安心した途端、お腹の虫が鳴く。
「初めての手料理、ありがたく戴きますか。」
うどんのお汁を温めて丼ぶりに入れて、蒼の寝顔が見える場所に座る。
「戴きます。」
小さく手を合わせてからうどんを啜る。
「わっ……美味しい……私より上手かも……。」
一杯のうどんを堪能した後、タオルケットを蒼に掛けて、その日は自分も隣に眠った。
明日はいよいよ二人で初の買い物だ。
うどんのお礼とこれからの事、よく話し合おう。
こんなに優しい子なら、きっと上手くやって行ける。
私は自分に言い聞かせながら、眠りに落ちた。