A・O・I
「...........一体何処にあるの...........?」
重い体を引きずって、他の場所も探して見るけれど、結局、最後まで缶切りは見つかる事はなかった。
開けられない桃缶を持ったまま、その場にへたり込んだ。
「...............ははっ...........私、蒼が居ないと缶詰めも開けられないんだ........そっか...情けな...........。」
何処にも行けずに燻っている自分が、酷く惨めに感じた。
どうにかしたいのに、どうにも出来ない。
目の前が滲んで見えなくなる。
現実の自分を認めてしまうと、一気に飲み込まれそうになる。
気づいたら、私は子供の様にしゃくりあげ、大声で泣いていた。
「.............蒼...........蒼...........何で居ないのぉ~...........ひっく.......帰って来てよ~!缶切り無いってばぁ~!!うぅ~ばかぁ~...........ひっく...........ひっく...........。」
虚しく部屋に響く自分の声が、相手を求めて彷徨っている。
永遠に辿り着く事が無いのだと思うと、余計悲しくて、虚しくて、涙が溢れた。
蒼が居ないだけで、何でこんなに目の前が真っ暗になってしまうんだろう。
本当は心の奥底で、分かっていた...。
あの人が言った通りだ。