A・O・I
保護者としてじゃない。
家族としてじゃない。
母親としてじゃ...全然ない。
「私は、女として蒼が好き......好きだったんだ................。」
言葉にして認めてしまったら、後は簡単だった。
溢れ出す気持ちが行き場も無く、私の中で膨れ上がる。
蒼に恋人が出来て、やっと気付くなんて、本当にバカだ。
「......今更なんて.....タイミング悪過ぎ..........。」
体育座りの要領で、膝に顔を埋めたその時、何かの物音に私は顔を上げた。
「...........今の...本当...........??」
「蒼っ?!なんでっ!!!えっ?!!」
「さっき言った事、本当?」
「さっき言った事って...........」
一瞬にして、自分が呟いた事がリフレインする。
顔が爆発しそうに熱い、恥ずかしくて死にそうだ。
言うつもりもなかった初めての告白を、聞かれるなんて...........。
「いやっ!!違うのっ!!...........えっと、違くは無いんだけど、なんてゆうか...........その、彼女居るの知ってるし、どうこうする気は全然ないよ!!...........あぁ...何言ってんだろ私??とにかく、今のは忘れてっ!!」
羞恥心で居た堪れなくて、隠れる様に背中を向けた。
「...........仕事一段落したの?急に帰って来るからびっくりした。帰る前に連絡くらいー」