A・O・I

言い終わる直前、背後から熱いくらいの体温が、私の背中を包み込んだ。

力強い筋張った腕が、私の肩を優しく抱いている。

息が止まる程の瞬間と、同時に襲う胸をきつく絞られる感覚。

恥ずかしくて死にそうなのに、嬉しくて堪らないこの気持ち。


「硝子さんの言葉なら、全部気になるよ。」


「...........何でこんな事するの?可哀想だから慰めてるつもり?」


「慰める?俺があなたを抱きたいから、抱いているだけだよ。」


「何?急に抱くだなんてそんな言葉...........それに、俺って...........。」


「硝子さんが知らなかっただけだよ。いつまでも子供じゃ無いって事。」


「分かったから…一回離して...お願い...........苦しいから...........。」


「そんなきつく抱いてなんかいないよ?嫌なら自分で振り解けばいい。」


「そうゆう意味じゃなくて...........蒼..........私、こうゆうの久し振りで慣れてないから...........お願い!」


「フフッ...........ごめん硝子さん。でも、もう離れないって決めたから。」


左耳に触れる蒼の唇が、話す度に私の耳をくすぐる。

全然冷静になれない。


「彼女居るくせに何言ってるの?」


「...........さっきから何か勘違いしてない?俺に彼女なんかいないよ?」


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