A・O・I
閉め忘れたカーテンから差し込む朝日に促されて目を覚ますと、隣のソファーに居たはずの蒼はもう既に居なかった。
丁寧にタオルケットを畳んで置いてある。
身体中の痛みに耐えながら起き上がって、蒼の部屋に向かう。
「起きてる?」
ノックをして、反応を伺ってみる。
「今日は買い物行くから、出掛ける準備しててね?」
返事は無いけれど、物音が聞こえる。
ご飯用意してくれたからといって、直ぐに好意を期待するのはバカだ。
少しづつ距離を近づけなければ。
「よし、私も準備しよっ!!」
カジュアルなパンツスタイルに着替えて、ぐちゃぐちゃの髪を整える。
今日は会社じゃないから、メイクもナチュラルだ。
足も痛いしスニーカーで出掛けることにした。
「行くよー。」
少し大きめな声で呼ぶと、部屋のドアがゆっくりと開いて、遠慮がちに蒼が出て来た。
相変わらず綺麗な顔で、少し伸びた前髪が目に掛かっている。
服もそんなに持ってないのか、いつもシンプルな白のTシャツにブルージーンズ。
中学生なんだからもう少し女の子らしい服装でもいい様な気がするけれど、そんなシンプルな服装が、余計顔立ちの良さを引き立てていた。
「今日は一気に買い揃えちゃうから、遠慮無しでね!さぁ、出発!!」
勢いに任せて腕を引いていみると、少し戸惑っていたけれど、払い除けられる事はなかった。