A・O・I

「...........ご馳走様でした...........あの.....。」


「少しは調子良くなった?」


「うん!大丈夫!」


「じゃあ、もういいよね?」


「えっ?」


次の瞬間、私は蒼に抱き締められていた。

強く抑えられて、身動きなんて取れない程。

微かに聞こえてくる蒼の息遣いが速く、短く、一定のリズムを刻む。


「好きだ...........。」


少しかすれ気味の声が耳に伝う。

凄く嬉しいのに、また涙が溢れてくる。

今すぐ応えなきゃいけないのに、言葉にならない。

私もちゃんと言わなきゃ...........早く...早く...。


「私もっ...........うぅ...ひっくっ.........私も............。」


蒼は、抱き締めていた腕を軽く緩めると、私の顔を覗き込んだ。

久し振りに見る、青い硝子玉の様な瞳は、涙でキラキラ光っていた。


「何年も待ったんだ...........俺だけを見つめてくれるこの時を...........。だからちゃんと、言葉にしてその口から聞きたい。」


顔に添えられた手の指が、ゆっくりと私の唇をなぞる。


「っ?!!」


「俺からの最後のお願い。これから硝子さんの願いは全部俺が叶えてみせるから...........お願い.....言って?聞きたい。」


腰に回した蒼の手が震えている。

ずっとこんな気持ちを抱えて来たの?


「ずっとずっとごめんね蒼。...........大好きだよ!!」


青い瞳から、大粒の涙が頬に流れた。

あの時のデジャブ。

初めて出会った時の涙を思い出した。

私はそれさえも綺麗だと思いながら、そっと近づくその瞳を、唇が重なるギリギリまで見つめた。

前のキスとは全然違う。

熱く情熱的な接吻。


「...........蒼の目、綺麗過ぎて目が離せなくなる。」


「フフッ...........硝子さんを虜に出来るなんて、この目でも良い事あるんだな...........。」


「あなたの全てを私のモノにしてもいいの?私は酷く強欲なのよ?後悔しない?」


「...........いいよ...........あなたが俺だけのモノになるのなら...........。」





ーーーーーENDーーーーー
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