A・O・I

何日か振りに、ボディスクラブで身体をマッサージしたから、お風呂中がシトラス系の爽やかな香りで充満していた。


「はぁ~いい香り~生き返る~...........肌もツルツル~!」


湯船に浸かりながら、持って来たタオルを顔に乗せた。

湯で温められたタオルは、じんわり顔を包み込んだ。


「あ~幸せ~...........。」


目を閉じて暫くそうしていると、いきなり電気が消えた。


「えっ?何?停電?」


真っ暗な中、身動きが取れず固まっていると、ドアが開いた音がした。


「入るね~。」


「えっ?何?!!嘘っ!!」


暗くて見えないけれど、確実に蒼が入って来て、カタカタと音を立てて何かをしている。


「ちょっと...........蒼??何してんの?!!...........ねぇってばっ!!」


黙っている蒼にどんどん話し掛けるけれど、全く返答が無い。


「蒼ってばっ!!!」


「シーーーーー...........静かに。」


慌てて口を閉じると、目の前にオレンジの明かりがポゥッと灯った。

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