A・O・I
キャンドルの灯りの中に映し出されたのは、蒼の顔だった。
余りにも近過ぎて、身体が硬直する。
「アロマキャンドルだよ...好きでしょ?...........どうしたの?硝子さん?」
「どっどうしたの?じゃないよっ!!なんで裸なのっ?!!」
「お風呂に入るんだから、普通裸になるでしょ?」
「でっでもっ!!」
「当時、年頃の男の子の入浴中に突撃して来たのは誰だっけかな?」
「それは...........すいませんでした。」
「だから、これでおあいこ。」
「それは分かるけど...........でもー」
蒼は最後のキャンドルに火をつけて、バスタブの縁に置くと、シャワーを浴び始めた。
「見ててもいいからね?」
「バカっ!!」
背中を向けて、少しでも見えない様に小さくなっていると、キュッと蒼がシャワーを止める音がした。
「硝子さん。」
「なっ何よっ!!」
「こっち向いてよ。」
「いや...........恥ずかしいからっ!」
「フフッ...........変なの。これからもっと恥ずかしい事するのに。」
「えっ?!!」
驚いて、咄嗟に振り返ってしまったのが悪かった。
水に濡れた髪を、後に掻き上げた蒼は、妙に艶っぽい表情で、私を見ていた。
心臓がどうにかなりそうな程、ドクドクと高鳴っている。
そんな私を見透かした様に、蒼はニコッと口角を上げた。
「だってそうでしょ?俺達は恋人同士なんだから。」
「そっそうだけど...........今まで、保護者として一緒に居たから、そんな急に切り替えられないよ...........心の準備が...........。」