A・O・I
お店が開店する時間から回り始めて、寝具、家具、食器類など、ありとあらゆる生活必需品を揃えて行った。
夕方になる頃には、二人共ヘトヘトでアーケードを歩いていた。
「大体の物は買ったし、後忘れ物ないよね?」
いつもなら直ぐ頷く所で、何故か蒼は戸惑った様に私の目を見て俯いた。
「何かまだ必要な物あった?」
「……………。」
「どうしたの?慣れない街で疲れた?」
蒼は慌てて左右に顔を振った。
「私の仕事営業職だから、帰りも遅いし、休みも接待とか急に入るから今日一日に大部詰め込んじゃった!ごめんね?大変だったよね?…………帰ろっか?」
頷く蒼の腕を引いて、夕焼けに映し出された影を追う。
「今日は、私がご飯作るからね?」
蒼は私の声にパッと反応する。
「……うどん美味しかった……ご馳走様でした。」
蒼は透き通る程の青い目で、私を見つめると小さく頷く。
今日は目を合わせてくれただけで充分だと、蒼の腕から伝わる体温を感じていた。
「お風呂沸かすから先に入ってて、その間にご飯作るから。」
「……はい。」
「えっ?」
不意の返事に振り返ると、蒼は背を向けて部屋に戻って行った後だった。
「少し距離が近づいたかも……フフッ!」
デパ地下で買ってきた惣菜を取り出し、皿に盛っていく。
今日は流石に疲れたから手抜きご飯だ。
後は温めるだけの状態で蒼が上がってくるまで時間が余った。
「そ~だ!新しいキャンドル買ってきたし、一緒にお風呂入っちゃおうかな?……う~ん、まずいかな?……いや、大丈夫でしょ?女同士だし!!」