A・O・I
ヒヤッとした感触が肩を包んで、少し痛みが紛れる。
肩の痛みよりも、蒼の様子が気になって、触れられている背中に神経を集中していた。
「足の靴擦れも治ったんですね?」
「えっ?知ってたの?」
「……はい。」
淡々と受け答えをする蒼に、少し驚きながら会話を続ける。
「さっきは……さっきはどうして庇ったりしたんですか?」
「あなたは忘れてる様だけど、私は君の保護者よ?当然の事じゃない。」
「俺はこう見えても男です。少しくらい殴られても平気ですけど、あなたは女の人です。他人の為にそこまでしないでください。僕とあなたは何の関係も無いんですから、もし大怪我でもしたらー」
「ねぇ?!どうしていつもそうなのっ?!関係ないなんて………私はもっと色々話したいのに!!」
堰を切ったように、溜まっていたモノが、口から湧いて出る。
「っ!?」
「…………ほら、また黙る。」
「黙ってる訳じゃー」
「言いたい事があるなら、この際はっきり言いなさいよ!!」
「…………。」
「もういーわ………」
「…………ダメんなんだ。」
「えっ?」
「僕は……僕は普通じゃないからダメなんだっ!!」
叫びながら涙を零す蒼を、咄嗟に両腕を伸ばして抱き締める。
目の前の高校生にもなる子を前にして、何故か小さい子供を見ている様な気分になった。