A・O・I

「それでは、今日の所はこの辺で。」


「えぇ、後は若い二人が上手いこと進めるでしょう。」


「ハッハッハッ!!確かにそうですな?後藤!!確りやれよ!!」


すっかりいつもの接待の様な流れで、ほろ酔い上機嫌の上司達。

私は啓介からの視線に終始戸惑うばかりで、何とも居心地が悪い。

何とかその場をやり過ごして、ほろ酔いの上司をタクシーで見送った。

予定より少し帰りが遅くなった事を、いつもの様に蒼にメールして一息つく。


「はぁ~…………。」


偶然にしては出来過ぎている。

どう考えても、啓介は私の存在を知っていて、今回の席を希望して来たんだ。


「今更どうゆうつもりなの.....?」


「硝子。」


「わぁっ!!」


当たり前の様に啓介は私の名前を呼んで、そこに立っていた。


「驚かしてごめん。少し話したい。」


「…………ええ。」


避けては通れない、それなら今日決着を着けるのもいいかも知れない。


「じゃ、私のいつも行くお店がそこにあるから行きましょう。」


「あぁ。」


きっと暗い話し合いになると、気が重かったが、中身を開けてみるとなんのその、久し振りに再会した啓介はあの頃まま、良く笑い良く喋った。

まるであんな事があった関係とは、微塵も感じさせない雰囲気。

私には、それが段々と腹立たしく思えてきた。


「それで?何?世間話聞きに来た訳じゃないんだけど?どうしてお見合いなんか頼んだの?どうゆうつもり?」


「……あぁ、ごめん。なんか俺、緊張してたみたいで、喋り過ぎた…ごめん。」


「…………お見合いの件そっちでなんとかしてね。仕事上繋がりがあるし、関係性悪くしたくないから、そこは上手く処理してよ?」



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