A・O・I
「わっ!!」
目の前には上半身裸の蒼。
お風呂から上がってきたばかりの濡れた髪の毛からは、雫が滴り、綺麗な骨格や筋肉に沿って滑るように流れ落ちてている。
初めて見たあのお風呂事件の頃とはまるで違う大人の男の身体。
あの事件以来、これ以上嫌われない様にと年頃のあの子に細心の注意を払って接していた。
高校卒業してからは、蒼がその辺上手く対応してくれていたのですっかり無警戒だった。
「ごっ……ごめん!!」
慌てて踵を返そうと動くと肩を掴まれた。
「えっ?!!」
身体をゆっくりと回されて向き合う形に戻される。
「蒼っ?!!ど……どしたの?!!」
間近に透き通った青い瞳が近づく。
「硝子さん……そのまま...。」
これ以上見てはいけないと、速い鼓動が私の中で暴れて知らせてくれているのに、目が離せない、身体がゆう事を聞かない。
右手が伸びて来て、私の左頬に触れる。
そのまま撫でる様に私の髪を耳に掛け、近づいてくる蒼に、咄嗟に身体を硬くして目を閉じた。
ドクンッドクンッドクンッ……
「……はい……出来た。」
「え?」
「ピアス着けといたよ……このピアス着けるの簡単だけど、取れやすいから気を付けないと。」
「へっ?ピ……アス?」
「見つかって良かったね。」
触れられた頬と耳が熱い。
「どうしたの?ぼーっとしてる。」