A・O・I

「えっ……。」


何かを見透かした様にクスッと笑って私を見つめる彼は、まるで別人の様で言葉が出ない。


「あ……もしかして、俺の所為?フフッ見てよこれ、立派に成長したでしょ?」


不意に手を取られ胸に当てられた。


「バッ……バカッ!!ふざけてないでさっさと服着なさい!!」


蒼を押し退けて脱衣所から飛び出した。

ドアに寄り掛かりながらその場にしゃがみこむ。


「硝子さ……ん……た……の?でも……った……少し……くれ……たね。」


ドアの向こう側で蒼が何か喋っているけど、聞き返す余裕が無い。

今迄こんな事無かった。

自分の今の状況が理解出来ない。

今の返しは何が正解だった??

もっと大人として自然に流す事が出来たんじゃないか?

色んな事を考え始めると、何もかもが恥ずかしく思えて、私はそのままバックを掴むと、何も言わずに部屋を出た。

今はあの子の顔を見れない。

そんな気がして、そんな自分が嫌で私はこの場から逃げ出した。



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