A・O・I
“また会いたい”
お見合いの日から毎日の様に、啓介からメールが来ていた。
その都度、適当に断りのメールを返していたが、そろそろ何とかしないといけないと、さすがに切羽詰まって来ていた。
(うぁ~……どうしよう……。)
「荒川君~居るか~?」
「はいっ!」
「時間あるなら、ちょっとこっち来い。」
「はい。」
ギクリと何かを察知して、足取りが重くなった。
(絶対お見合いの話だよね……。)
「手持ちの仕事は順調か?」
「はい。滞り無く進んでいます。」
「それならいいんだ。今日呼んだのはな、お見合いの進行状況を聞こうと思ってな。どうなんだ?上手くいってるのか?」
(やっぱり来たか。)
「え?……はぁ……まぁ。」
「どうやら先方はかなり乗り気みたいだから、又と無いチャンスだぞ!断ったりしないよな?」
「え?でも部長!形だけの接待の様なものだって、言いましたよね?だから私ー」
「何言ってるんだよ!折角良い相手が見つかったのに断る理由あるのか?誰か付き合ってる人が居るのか?」
「いえ……居ませんけど……。」
「仕事人間のお前の事だ、後は無いかもしれないぞ?荒川君……こんな事言ったらアレだけどな?君も若くないんだぞ?子供とかいいのか?」
「…………。」
「無理にとは言わないが、なるべくいい方向で考えてくれよ。……仕事の関係もあるしな?ハハハッ!!」
「そんな事、言われましても.....。」