A・O・I

“また会いたい”

お見合いの日から毎日の様に、啓介からメールが来ていた。

その都度、適当に断りのメールを返していたが、そろそろ何とかしないといけないと、さすがに切羽詰まって来ていた。


(うぁ~……どうしよう……。)


「荒川君~居るか~?」


「はいっ!」


「時間あるなら、ちょっとこっち来い。」


「はい。」


ギクリと何かを察知して、足取りが重くなった。


(絶対お見合いの話だよね……。)


「手持ちの仕事は順調か?」


「はい。滞り無く進んでいます。」


「それならいいんだ。今日呼んだのはな、お見合いの進行状況を聞こうと思ってな。どうなんだ?上手くいってるのか?」


(やっぱり来たか。)


「え?……はぁ……まぁ。」


「どうやら先方はかなり乗り気みたいだから、又と無いチャンスだぞ!断ったりしないよな?」


「え?でも部長!形だけの接待の様なものだって、言いましたよね?だから私ー」


「何言ってるんだよ!折角良い相手が見つかったのに断る理由あるのか?誰か付き合ってる人が居るのか?」


「いえ……居ませんけど……。」


「仕事人間のお前の事だ、後は無いかもしれないぞ?荒川君……こんな事言ったらアレだけどな?君も若くないんだぞ?子供とかいいのか?」


「…………。」


「無理にとは言わないが、なるべくいい方向で考えてくれよ。……仕事の関係もあるしな?ハハハッ!!」


「そんな事、言われましても.....。」


< 43 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop