A・O・I

「あっ蒼っ!!ちょっとっ!!」


気づいた途端、猛烈な焦りと動揺が私を襲った。

ドキドキと胸が煩いくらい鳴っている。

押し退けよう腕に力を入れるけれど、意図も簡単にまた抱き寄せられた。

耳に当たる吐息がくすぐったい。


「蒼?起きた!?ちょっとふざけないで離してよっ!!」


少し強めのトーンで諭した瞬間、私の身体は引っくり返され、ソファーに沈められていた。


「……んっ!!……んん……!!」


柔らかくて熱い唇が私の唇を塞ぐ。

久し振りの感覚に目眩がしそうだ。

優しくゆっくりと動く蒼の唇は、更に私の奥へと入って来ようとする。

キスしながらも空いている手は、絶え間無く私の体を探っている。


「んん!!…………ん……んっ……」


こんな声私から出てる事自体が、もう死にたいくらい恥ずかしい。

なのに蒼の手はスルスルと私の弱いポイントを探り当てて、焦らすように刺激を与える。


「やだ……蒼……離し……て……」


また急に強く抱きしめられた。

耳元で優しく空気が揺れる。


「…………好きだよ。」


ドクンッ!!


心臓が大きく脈打ったと同時に、私は蒼を思い切り突き飛ばしていた。


「痛ったぁ~…………何?……うぅ……あれ?硝子さん...帰ってたの?」


ドッドッドッドッ……


「えっ?今の...寝惚けてた.......?」


「え?何が?てゆうか、飲み会多過ぎだよ……接待でも飲むんだからプライベートは控え目にしてよ。…………痛てて……それにしても、もう少し優しく起こしてよ?まだ酔ってんの?」


ドッドッドッド……


「.......信じられなぃ.....。」


「ん?何?」


「いや……何でもない。お風呂入る……。」


「うん。じゃ俺も寝るよ…おやすみ硝子さん。」


無言でバスルームの扉を閉めたのは、何だか無償にイライラしていたから。

そして、とてもショックだった……。

私は少しずつ大きくなって来ている、自分の気持ちの変化を持て余していた。






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