A・O・I
「ええ……全然大丈夫れす!!少し酔ってるだけれすから……ヒック!!」
「はぁ~……どんだけ飲まされたんだよ…。ダメだ、部屋送るよ。行こう。」
「えっ?れも……ビール……あと……ご飯も……」
「そんなのどうでもいいから、部屋で休め。」
起き上がれないでいる私を、少し抱える様に立たせると啓介は周りに挨拶をして私を支えながら宴会場を後にした。
宴会場から出ると、ぐっと涼しいくなる廊下が火照った頬に気持ちいい。
「あ~……涼しい~。」
「外はもっと涼しいだろうな。」
「外?……行きた~い!少し休みた~い!」
「部屋行かなくていいのか?」
「少しだけ!」
「分かったよ。」
啓介は、私を石で出来たベンチまで連れて行くと、そっと座らせてくれた。
「あ~……冷たくて気持ちいい~……。」
「本当に大丈夫か??」
綺麗にピカピカに磨かれた石に、火照った頬をくっつけて目を開くと、ライトアップされた幻想的な日本庭園が広がっていた。
「はぁ~……料理美味しかったらぁ~……。蒼にも食べさせたかったらぁ~……。」
「蒼ってあの子か?」
「……うん、そう。……蒼。」
「そんなに大事か?」
「……勿論。……私の命より大事。」
「そうか……。」
「うん……あの子は沢山酷い目にあって来たの……だから私が守るの……だって、あの子はあおいなんだもん私の大事な……あおいなんだか……ら……。」
酔っ払ってる所為で、私の口は不思議な程、素直に言葉が出て来た。