A・O・I

「そうか……でも、いつかは家を出て行くんだろ?」


「……そう……そうだよ?だから何?!」


「硝子??」


「うぅ~……分かってるわよっ!!ずっと一緒に居られない事くらい……でも、それでもまだ一緒に居たいの!!悪い?!」


「いや、悪いなんて言ってないし…。だからさ、要は寂しいんだろ?だったら俺がいるよ?蒼君にもそろそろ独り立ちさせてー」


「啓介のバカッ!!……うぅ……うぁぁ~っ!!ずっと一緒に居たかったのにっ!!大好きだったのに~!!私を一人にして……うぁ~ん……ひっく……ひっく……ばかぁ~!!!」


「えっ?あっ!ごめん!!悪かったから、そんな泣くなよ~!!硝ちゃんほら、こっちにおいで?」


「啓介のばかぁ~……うぅ……。」


まるであの頃に戻った様に、抱き寄せられた啓介の胸の中で泣きじゃくった。


「……もう、誰も失いたくないの……それだけなのに……。」


宥めるように優しく頭を撫でられると、懐かしさと共に急激な眠気が襲って来た。


「もぅ……無理……眠た……い……。」


私は、過去と現在の記憶が混ざり合ったまま、夢の世界へ落ちていった。


「硝ちゃん……やっぱりお前は……。」


< 54 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop