A・O・I
「そうか……でも、いつかは家を出て行くんだろ?」
「……そう……そうだよ?だから何?!」
「硝子??」
「うぅ~……分かってるわよっ!!ずっと一緒に居られない事くらい……でも、それでもまだ一緒に居たいの!!悪い?!」
「いや、悪いなんて言ってないし…。だからさ、要は寂しいんだろ?だったら俺がいるよ?蒼君にもそろそろ独り立ちさせてー」
「啓介のバカッ!!……うぅ……うぁぁ~っ!!ずっと一緒に居たかったのにっ!!大好きだったのに~!!私を一人にして……うぁ~ん……ひっく……ひっく……ばかぁ~!!!」
「えっ?あっ!ごめん!!悪かったから、そんな泣くなよ~!!硝ちゃんほら、こっちにおいで?」
「啓介のばかぁ~……うぅ……。」
まるであの頃に戻った様に、抱き寄せられた啓介の胸の中で泣きじゃくった。
「……もう、誰も失いたくないの……それだけなのに……。」
宥めるように優しく頭を撫でられると、懐かしさと共に急激な眠気が襲って来た。
「もぅ……無理……眠た……い……。」
私は、過去と現在の記憶が混ざり合ったまま、夢の世界へ落ちていった。
「硝ちゃん……やっぱりお前は……。」