A・O・I
「蒼君~硝子さんまだ来てないみたいよ?どうする?」
「あ~やっぱり追い越しちゃったか。じゃあ、これ届けてくれます?本人に渡したら連絡寄越すように伝えて下さい。」
「OK!!」
「じゃあ、失礼します。」
「あっ!蒼君!!」
「はい、何ですか?」
「今度の社員旅行、蒼君も参加するの?」
「社員旅行?」
「今度あるじゃない!家族参加型の社員旅行!!」
そんな話、全く聞いていない……自分の中で、全てが一つに繋がった気がした。
「あ~……そうゆう事ね。」
「えっ?」
「あ~いえいえ、何でもないんです。それで旅行の事ですけど、参加したいんですけど、仕事入るかも知れないから、行けたとしても途中から参加します。行けなくなったら悪いので、皆さんには秘密にしておいてくれます?」
「いいわよ!でも、なるべく来てね?皆楽しみにしてるからさ!」
「はい!」
それにしても硝子さんは、何故社員旅行の事を秘密にしたんだろう?
理由を聞こうにも、躊躇っている自分がいた。
硝子さんの事は勿論信じてるし、疑う余地は無いと思っているけれど、時々過去の記憶がそれを邪魔する。
「これは、当日行って聞いてみるしかないな。泊まりなんて危ないし……。よし、それまで隠し事してる硝子さんを楽しもうか……フフッ。」
必死に隠そうとしている硝子さんは、なんか面白いし、可愛い。
「秘密にしてた分、少しからかってもいいよね?」
自社迄の道程、何を仕掛けようかワクワクしている自分が居た。