A・O・I
「硝子さん?大丈夫??」
「夢でも蒼に心配されてるぅ~…………ダメな大人だぁ~……ごめんね~蒼ぃ~。……てゆーか喉乾いたぁ~水ぅ~!水ぅ~!」
「今持ってくるから、ちょっと待ってて……。」
「やだ、やだ~!!一緒に行くぅ~……連れてけ~。」
起きようとしてフラついた彼女を、前から受け止めると、ぽすっと寄り掛かって来て、そのままくすくす笑い出した。
こんな風に甘えてくるなんて初めてで、宙に浮いたままの自分の手を、何処に持って行ったらいいのか分からない。
「硝子さんっ……ちょっと待って。」
「蒼ぃ~……夢だよね?……夢だから言っちゃう……ね?」
「え?」
ドクっと、胸に響く程の高鳴りが全身に響いて、一瞬にして、緊張と期待が胸に広がった。
「今日の事……話さなくてごめんね?本当は、一緒に旅行して、二人で美味しい料理食べたかったんだ……本当にごめん……ね……。」
「………はぁ~………なんだ。それだけか……いいよ、別に。」
膨らんでいた期待は一気に萎んだけれど、自分の存在価値を見付けれて、ほっとしている自分がいた。
お前なんかもう要らないって、突き付けられる事が、一番恐れている事なのかも知れない。
「フフッ……情けな………俺。硝子さん、歩けないみたいだし、水持ってくるからここで待ってて。」
立ち上がろうと身体を動かすと、彼女の腕が腰に回って引き止められた。