A・O・I
「だから!とにかく私はね?…………蒼が好きって事!!一番大事なの...それだけっ!!分かった?…………もぉ~。」
半分寝言の様に叫ぶと、硝子さんは大きく寝返りを打った。
その拍子に、浴衣の裾が肌蹴て脚が露になった。
「ちょっ!!硝子さん!!見えてるよ?いいの?」
「…………ん~?…………うん。」
「あぁ~……もぉ~……!!」
直そうと浴衣の裾に手を掛けようと近寄ると、急にその脚がシュルッと動き出した。
「こんなおばさんの脚見えた所で、誰も何とも思わないでしょ~が………くククッ……。」
笑い上戸なのか、蒸気した頬に虚ろな瞳で、俺を見て笑っている。
カチッ
俺の中で、スイッチが音を立てる。
「硝子さん?夢だからって、少しからかい過ぎじゃない?俺だって男だよ?」
「えっ?」
浴衣から抜き出ている膝に軽くキスをすると、そのまま手を奥に滑らせた。
「あっ……やだ……蒼っ!」
「自分から誘った癖に、逃げるなんて狡いよ?」
「そんなんじゃっ!」
上から覆い被さる様に目を合わせると、潤んだ瞳が俺を見ていた。
「硝子さん……キスしていい?」
「………………何で……するの?また誰かと間違えてキスするの?…………そんなのやだ…………。」
潤んだ瞳から一粒涙が零れた。
「間違えてないよ…………アレは硝子さんにしたんだよ。」
「……嘘。」
「本当……。」
「本当に本当??」
「本当に本当に本当……フフッ……疑り深いなぁ。」