A・O・I

「昨日、あれから大丈夫だった?」


「え?あれからって?」


「うちの課長に、日本酒かなり飲まされてさ、泥酔した所、俺が介抱したの覚えてないの?」


「えっ?!!嘘っ!!」


「呂律回って無かったから、やばいなって思ってたけど……その後、凄い剣幕であの子が来て、部屋まで連れてったんだぞ?」


「はぁ~……そうだったのか……。あぁー……やらかしたぁ~。」


遠くに蒼を眺めながら、頭を抱える。


「何かされなかったよな?」


「はぁ?何言ってんの!そんな事ある訳ないでしょ!バカ!」


「それがそうでも無いから心配してんだよ……。」


「何か言った?」


「いや、別に。おっ、前進んだぞ。」


「本当だ……もう少しかな?」


一際黄色い声が響いて、否応なしに視線が行ってしまう。


「それにしても本当にモテモテだな?どんどん増えて行ってるぞ?」


「会社に何回か来てるから、既にちょっとしたアイドルになってんの。」


「あの顔じゃあ、分かるな。」


「こうなるから連れて来たくなかったんだけど。」


「ヤキモチか?」


「母親目線のね。」


「母親ねぇ~……へぇ~。」


「何?」


「いいや?何も?そういや、ずっと聞きたかったんだけど、あれから俺の他に誰かと付き合ったりした?」


「する訳ないでしょ!!そんな余裕無かったし、仕事忙しかったんだから!!」


「てことは、荒川さんの恋愛レベルはあの頃のままか……フフッ!」


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