A・O・I
7. 本当の事
旅行から帰って来てから、私はずっと考えていた。
“「硝子さん……僕、好きな人ちゃんと居るから。」”
どんなに考えても、色んな女の子が頭に浮かぶばかりで、候補が定まんない。
「いったい誰なの……?好きな娘いたなら、教えなさいよ……もぅ……。いきなり言うなんて驚くじゃない。」
そうだ、ただ単に驚いただけ……。
また一人に戻るだけだもの、何も変わらない。
おまじないの様に、何度も心の中で呟く。
「なんだぁ?独り言激しいぞ?ククッ……。」
「えっ?!!」
「気づいてなかったのか?アハハッ!!ヤバいぞそれ?」
「なんて言ってたか聞こえてた?」
「いや、驚いたとかは聞こえたけど、その前後はよく聞こえなかったよ。何かまずい事でも口走ってたのか?聞いとけばよかった。」
「いやいや!何も無いよ!!仕事関係!!仕事関係でちょっと……ね。」
「そう言えばさ、ずっと気になってたんだけど、社員旅行の朝食の時さ……あの……その……」
「えっ?何?」
「何つ~かさ……抱き合ってたじゃん。後藤さんと、もしかしてそうゆう仲なの?」
「はぁっ?!!抱き合ってた?そんな事ー」
反論しようとして、啓介の胸に引き寄せられた瞬間がリフレインした。
「あれは違うの!単なるお見合い相手なだけだからっ!!」
「えっ?お見合い相手なの?!!」