A・O・I
「誰からだろ?急ぎだったら教えないとまずいな。」
リビングのテーブルに向かい、携帯の画面を覗き込む。
「硝子さんのお母さんだ.....どうしよう.....。」
迷っている間に、着信は切れてしまった。
さっきまでのモヤモヤがまた心に広がった。
「俺の勝手には出来ないんだ。硝子さんの許しを得ないと.....。」
携帯画面の着信ありの表示を見ながら、動けずに居ると、メールを知らせる電子音が鳴った。
それと同時に、メールの内容の一部が表示される。
“葵ちゃんの23回忌の日、前日から泊まるわよね?”
「23回忌.....?葵.....。」
硝子さんの全て.....。
俺は真実を知らないといけない。
そうしないと、この先何処にも進めない。
そんな予感が、躊躇していた俺の背中を強く押した。