sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「男性を誘う術、ですか。お嬢様、なかなかデインジャラスな初恋なのですねぇ」
みーちゃんが用意してくれた純和風の家庭料理をふたりで囲んで、食事をしながら恋バナタイム。いや別に、恋バナではないのだけれど、少なくともみーちゃんの方はそのつもりだろう。
「セクシーな下着とか、香水とか……あとはやっぱり気の利いた言葉とかが必要なのかなぁと思って。みーちゃんいいの知ってる?」
知らず知らずのうちに祥平さんを傷つけるような、恋愛に無頓着すぎる私にはそれはわからない。
口をもぐもぐさせていたみーちゃんは一度ずず、と緑茶を啜って、静かに湯呑を置く。
そして向かい側に座る私をまっすぐ見据えて言い放った。
「お嬢様、そんなものは一切必要ありません」
「え? どうして?」
「シミーズやらスリップやら、あと私の時はネグリジェなんてのも流行りましたけどねえ、いくらそういう鎧を纏おうとも、結局、殿方が見ているのはこちらの心ですよ」
ネグリジェってなんだろう……と、それも気になったけど、やっぱり最後のひとことにドキッとした。
恋なんて知らない私じゃ、男を誘うなんてもってのほかだと言われているような気がして……。