sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
でも、そんなことを口にする素直さは持ち合わせていないし、不機嫌な顔も元に戻らない。
黙ったままの私にひとつため息をこぼした詠吾さんは、棚から車のキーを取って寂しそうに微笑んだ。
「……家まで送るよ」
帰りの車内は行きよりずっと気まずくて、息が詰まりそうになった。
会社を出たときはロマンチックな期待を抱いていたのに、こんな結末になるなんて。
窓の外の夜空にぽっかり浮かんだ月は、半月よりも少し膨らんだ状態で輝いている。
私も、あんな風に順調に気持ちを育てていたつもりだったんだけどな……なんだか自分がわからなくなっちゃった。
やっぱり、恋愛って私には難しすぎるのかもしれない。……明日会社で円美さんにでも相談してみようかな。
浮かない気持ちのままでドライブは続き、ようやく家に着いた時も詠吾さんはあっさり別れを告げてさっさと帰ってしまった。
何か、フォローの言葉が欲しかった。それか、キスやハグでもいいのに。去っていく車を見送りながら、そんなわがままに心をつつかれた。
……私、いつからこんなに欲張りになったんだろう?
ふるふると首を振って家の中に入ると、みーちゃんが帰りの遅かった私にお決まりの質問攻めを浴びせてきた。
でも、いつまでも元気のない私を見て何か察したらしく、軽い食事を用意したあとは放っておいてくれたから助かった。
とはいえスッキリしまいままの気分は続き、その日はお風呂に入ってすぐに寝てしまうことにした。